障害者スポーツボランティアとは

2021.4.2公開
ボランティアもまずは参加者と
一緒に楽しむことから②
遠藤裕美さん
中級パラスポーツ指導員、
東京都障害者スポーツ指導者協議会理事
体験談①(前半)はこちらから

ボランティアが活躍されてますね。ボランティアがいつも来てくださるのはどうしてでしょう。

 たぶん楽しいんじゃないかなと思います。スポーツ教室の時もそうなんですけど、ボランティアさんには「構えなくていいです、まず一緒に楽しんでください」という話をしています。

 ボランティアさんには参加者の方についていただくんですけど、ボランティアの方が「障害のこともよくわからないし」って言うこともあるんです。でも、「その人と一緒に楽しんでください。ご本人がやらなかったら無理にやらなくてもいいので」とお伝えしてます。始まる前に知ってもらって、楽しんでもらうことは大事にしています。ボランティアの方に楽しいと思ってもらえると、参加者の方にも楽しいのがわかってもらえると思うんです!

 私も声を出して、「うまいねー」とかってやっていると、どう声かけていいのかわからなかったボランティアさんも、そうか、自然体でいいのかって思ってくださって、いろいろ声をかけてくれるようになって。

 選手も自分に声をかけてくれているっていうのを感じるようになると、一緒にいる時間が増えるようです。そうするとその日の振り返りで、最初は動けなかったけど、後半動けるようになりましたとか、参加者の方がすごく生き生きしているのを見ると楽しかったという声がボランティアの方からあがるようになります。何かやらなきゃっていうよりかは一緒に楽しめたっていう達成感を得たりすることで、また行こうって思ってくれるのかな、と思います。

「構えなくていいです、まず一緒に楽しんでください」って、素敵ですね。

 いえいえ、ただ、障害者スポーツって言いますが、「スポーツ」となると、私にサポート活動はできない!ってハードルが上がってしまうのかな、と思うことがあります。

 できるできないは関係ないんです!一緒に楽しんでください!一緒にやって、こういう活動があるんだって知ってくれるだけでいいんです!って、伝えたいです。

 指導員の資格をお持ちの方じゃなくて、一般のボランティアとしてご協力いただいている方には特にですが、苦手意識を持たずに一緒に楽しんでください、って言いたいですね。

 ボランティア=何かしなきゃいけない、支えなきゃいけない、手伝わなきゃいけない、じゃなくて一緒にやるっていうことからスタートしてください。何ができるかはそこから考えればいいと思うんです。

スポーツができる、できないは、関係ないんですね!

 職場である社協でボッチャを始めた時に、支える側だけじゃなくて、障害のある方についても「スポーツなんて難しいんじゃないか」ってところはあって、ボッチャを覚えていただくのは無理だって思いました。

 ですが、まず職員が楽しいと思ってその楽しいという雰囲気が障害のある方に伝わったら、ランプもあるし、なんとか投げられちゃったということはあります。正式な競技としてやるわけじゃないんだからレクリエーションボッチャでもいいわけだし、気楽にやりましょうと説明をして、スタートしました。

 競技となると難しい部分も出てきてしまうかなと思います。ですが、職場でボッチャをする中で東京都障害者スポーツ協会の方々とも出会えて、スポーツ教室では本当に色々教えていただきました。


 私たちも東京都障害者スポーツ協会の職員さんの動きを見よう見まねでやってみて、一緒に体操をやると楽しいねって話しながら、その楽しさがみんなに伝わっていく。ボランティアさんもやっていい雰囲気になる。みんなでやるってこういうことなんだなって学ぶ機会になりました。

楽しい!と思うことが大事ですね。

 ボッチャの道具も高いしどのくらいの間やるかもわからないので、子供たちが使うような軽いビニールボールでスタートしたんです。それからテニスボールにラインテープ巻いてボールを作ったりとか、大学でやってきたことが活かされたのかなと思います。あるものを活用して、楽しめる方々が何人かいて、こんなに集中して取り組んでくれるんだ、ってなった時に本物のボール、正式なルールってどういうものなの?って聞いてくれたらこっちのもんだなって。笑

 楽しいが、興味を持つ第一歩ですよね。


 スポーツ教室を始めて、「大会があるよ」って案内を出してみたら、第1回の東京都多摩障害者スポーツセンターのボッチャ大会に3人出ることになったんです。でも、もちろんルールなんて全然わからなくて、キャプテンが何をするとかチームでどういうコミュニケーションをとるとかも全くなくて大変だったんですが、その大会に出たということが、参加者さんにも家族にもすごく大きくかったようです。

 いつもは何も言わない方が受付の時にチーム名をはっきり言ったりだとか、時間を守らないと失格になるからねっていうとしっかり時間を確認したり。普段だと考えられないことがいろいろあって。家族もすごいねって言ってくれて。もちろんぼろ負けだったんですけど、こういうことないからいい経験だねって。その後からスポーツ教室と並行してボッチャサークルが行われるようになりました。そのメンバーが動いていなかったらサークルになっていなかったし、私たちとしてもいいタイミングだったのかなと思います。

パラスポーツ指導員として活動し続ける原動力はなんでしょう。

 大きな理由は出会いですかね。

 障害者スポーツに関わることでいろいろなつながりができて、そのつながりが今も続いていて、全国障害者スポーツ大会にも帯同しています。

 ここに引き上げてくれた方にまず出会って、指導者協議会会長に出会って、どんどん出会いが広がって。

 いろいろな人とつながって、大会とかで「また会えたね、最近どう?」っていう話ができることが楽しいです!会った時にいろいろ話ができる楽しさとか。毎回会うわけじゃないんだけど、一回出会ったからこそ、障害者スポーツを通して話ができるというのはいいなって。知っている人が増えていく楽しさがあります。




令和3年2月21日(公社)東京都障害者スポーツ協会取材