福間 純さん
「ボランティアを募集している」または「これから募集したい」団体の方に向けて、ボランティアのご協力を得て事業を運営している団体の活動内容やボランティアを受け入れる際のポイントなどをお伝えします。
今回お話を伺った団体は、東京都を中心とした関東地区で障害者の水泳大会を主催している「関東身体障がい者水泳連盟」です。同連盟の理事を務める福間 純(ふくま じゅん)さんに、TOKYO 障スポ&サポートに登録してボランティアを募集した理由や活用した際の感想などをお聞きしました。
「ボランティアを募集している」または「これから募集したい」団体の方に向けて、ボランティアのご協力を得て事業を運営している団体の活動内容やボランティアを受け入れる際のポイントなどをお伝えします。
今回お話を伺った団体は、東京都を中心とした関東地区で障害者の水泳大会を主催している「関東身体障がい者水泳連盟」です。同連盟の理事を務める福間 純(ふくま じゅん)さんに、TOKYO 障スポ&サポートに登録してボランティアを募集した理由や活用した際の感想などをお聞きしました。
2020年以降、コロナ禍で各地の水泳大会や全国大会が軒並み中止になったのですが、選手のモチベーションを上げるために、安全を最優先に配慮する形で記録会が各地で開催されました。そうした状況の中、2023年に日本パラ水泳連盟からの要請で、「通信記録会」という全国各地で開催された記録を集計して、種目ごとに表彰する競技会を開催することになりました。その開催にあたって、大会を運営するスタッフなどの人手が必要となり、どうしたら良いか困っていた時に日本パラ水泳連盟の理事の方から「S&Sに登録してみてはどうか」と教えていただいただき、登録しました。
これまでに2023年の「関東パラ水泳記録会」と2025年の「第38回関東身体障がい者水泳選手権大会」でS&Sを活用してボランティアを募集しました。ボランティアの方には、レースに出場する選手を招集して控え室からプールサイドまで誘導する係、受付係、メダル授与など表彰のお手伝いや記録証を渡す係などをお願いしました。また、車いすの方が使用できる更衣室の数が限られていたため、スムーズに使用できるように更衣室が使用中か空いているかを案内する係もお願いしました。
「障害者の大会だから、かわいそうな人を手伝いに行く」という考えではなく、あくまでもスポーツの大会なので、選手をリスペクトできて、選手主体という意識を持ち、選手ができないことをさりげなくサポートできる方に来ていただけると嬉しいです。そういう方にボランティア参加を通じて障害者スポーツを知っていただきたいと思っています。
これまでは、水泳をしている大学生や高校生、知り合いなど連盟の役員の個人的なつながりを通じてボランティアを集めていました。そのようにして集まった方たちは、水泳大会の流れや業務を理解しているため、指示がスムーズに通りやすいんです。しかし、S&Sで募集した方は大会当日に初めてお会いし、それから役割をお願いすることになります。中には水泳大会のボランティアが初めての方もいらっしゃいます。そのため、朝のうちは若干戸惑いがあったような気がします。ただ、そんなに難しい業務ではないので、各リーダーが「こういうふうに動いてほしい」と伝えると、皆さんご自身の判断で動くことができていました。
今まで、私たちはボランティアの募集も含めて仲間内だけの閉鎖的な環境で大会を開催していました。しかし、S&Sを利用したことで仲間内では常識だと思っていたことが、実際にはあまり知られておらず、パラ水泳をもっと知ってもらうための努力をしてこなかったのではないかということに気付きました。パラ水泳の普及や理解促進という意味も込めて、大会運営の業務を分かりやすく説明するための事前説明会を開催するなど、障害者スポーツに触れたことのない方にも気軽にお手伝いに来ていただくことが必要だと学びました。それが最大のメリットだったと思います。
初めて扱うシステムで、最初はよく分からず戸惑うこともありましたが、ボランティアコーディネーターの方に丁寧に教えてもらうことで、簡単にボランティアを募集することができました。ボランティア募集のページを作成する際も、詳しい情報を記載することで、より募集内容にマッチした方からお申込みいただけるというアドバイスをいただきました。本当にボランティアが集まるのか心配していたのですが、初めての募集では30名程度の応募をいただくことができました。
S&Sのシステム上でパラスポーツ指導員資格の有無や、募集時に水泳大会や障害者スポーツのボランティア経験の有無などをアンケートすることもできるので、お手伝いしていただく役割を決める判断材料として非常に役に立ちますし、とても良いシステムだと思います。
大会を開催することは、競技の普及・啓発・認知拡大の目的もあるので、今後は開かれた大会にしていく意味でも、積極的にS&Sを活用していきたいと考えています。必要なボランティアの人数が増えてくると、個人のつながりだけでは必要な人数が集まらない可能性もあります。S&Sには「ボランティアをしたい」「積極的に障害者スポーツと関わりたい」という方が登録されています。そうした意欲を持った方にボランティアの募集案内を出すことができるので、レスポンスが早く、大会準備の面においても、今後も引き続きS&Sを利用してボランティアを募集していきたいです。
そして、これまでは大会の時だけボランティアをお願いし、大会が終わったらそれきりになっているので、今後はもっとボランティアの方たちと交流を深めていけたらと思っています。
「使い方がわからない」という理由でS&Sの利用を躊躇しているのであれば、どういう仕組みなのか、どのような方がボランティアとして登録しているのかなど、ボランティアコーディネーターから詳しく教えていただけるので、躊躇せずに登録してみてはいかがでしょうか。私たちの団体も経験したことですが、仲間内だけの閉じられた団体では、大会を続けていくうちに、どうしてもマンネリ化する面があります。ボランティアを含む外部の人と関わりをもつことで団体の活動が広がったり、活性化したりするということもありますので、どんどん活用すると良いと思います。
インタビューに応じてくださった福間さんは、「『もっとパラ水泳を知ってもらいたい』という思いから、S&Sを通じてボランティアに応募してくださった方全員にお手伝いしてもらいたかった」とおっしゃっていました。一方で、パラ水泳のことをよく知らないボランティアへの事前説明、慣れていないボランティアに目を配り、指示やサポートをするスタッフ増員の必要性など、広くボランティアを受け入れるために新たな課題も見えてきたと語ってくださいました。こうした取組みによって、ボランティアの皆さんが活躍する機会が増え、ひいては競技の活性化や障害者スポーツへの興味へとつながり、障害のある人への理解の輪が広がっていくことでしょう。