障害者スポーツボランティアとは

2025.03.21公開
ボランティアの方に支援いただくことで“社会的意義のある活動”と認めていただけているように感じます
スフィーダ世田谷BFC
張 寿山さん

 「ボランティアを募集している」または「これから募集したい」団体の方に向けて、ボランティアのご協力を得て事業を運営している団体の活動内容やボランティアを受け入れる際のポイントなどをお伝えします。

 今回お話を伺った団体は、障害者スポーツをとおして、多様性を受け入れる地域コミュニティの創出を目的として活動しているブラインドサッカーチーム「スフィーダ世田谷BFC」です。同チーム代表の張 寿山(ちょう じゅざん)さんに、TOKYO 障スポ&サポートに登録してボランティアを募集した理由や活用のメリットなどをお聞きしました。

TOKYO 障スポ&サポート(以下「S&S」)に登録したきっかけを教えてください。

 私は生涯スポーツとして注目されている走らないサッカー「ウォーキングフットボール」のプレーヤーとしても活動しているのですが、そこで知り合った東京都障害者スポーツ協会の方からS&Sでボランティア募集ができることなどを伺い、我々も活用できる可能性があると思い登録しました。

 最初は「自分たちで行う事業は、自分たちの仲間で全部やらなきゃいけない」と思っていたので、ボランティアをお願いするという考えはなかったのですが、S&Sでボランティア募集をする前に東京都障害者スポーツ協会の方から「地域事業参加型指導員育成事業(※1)でボランティアの受入れをお願いしたい」という依頼があり、私たちが行うイベントで実際にボランティアの方に活動してもらいました。当日は色々なお手伝いをしていただき、ボランティアの力を借りることは非常にメリットが多いということが分かったので、それからは継続的にS&Sを活用してボランティアを募集しています。

※1:「地域事業参加型指導員育成事業」の詳細はこちら

スフィーダ世田谷BFCはブラインドサッカーチームの運営の他に、ブラインドサッカーボールを使った体験会や絵本の読み聞かせなど多彩な活動をされていますが、ボランティアの皆さんにどのようなサポートをお願いしていますか?

 それぞれの活動によってお願いすることは異なりますが、最初の募集ではブラインドサッカーチームの練習のサポートをお願いしました。ブラインドサッカーはアイマスクを装着してプレーするため、選手たちが怪我をしないように安全管理が大変です。試合では選手がぶつかっても衝撃を吸収するフェンスをコートの周囲に設置しますが、練習ではそのようなフェンスがないので、周囲で選手の安全をサポートするスタッフとして、お手伝いをお願いしました。

 体験会と絵本の読み聞かせでは、イベント運営のサポートをお願いしています。例えば体験会では、子どものアイマスクの着用サポートや、目隠しをした状態で音を出して遊ぶ時のサポート、その他に写真撮影をお願いすることもあります。

 高校で視覚障害やブラインドサッカーの体験会を行った時は、ボランティアの方にも検討段階から打合せに参加してもらいました。

S&Sを利用した感想、ボランティアが加わることによるメリットを教えてください。

 ボランティアコーディネーターの方から、募集条件などを入力する際に間違いを指摘いただいたり、「こういう情報を入れた方が良いですよ」といったアドバイスをいただいたりします。実際に募集をすると、数名の募集に対して10名以上の方から応募があって、「ボランティアを積極的にやろうとしている方がこんなにたくさんいるんだ」というのが率直な感想です。

 ボランティアに来ていただいて助かるというメリットはもちろんありますが、我々の活動に対して「お手伝いしますよ」と言ってくださる方がこれだけ多くいるということは励みになりますね。我々の活動が社会的に意義のあることだと実感しています。

 また、ボランティアの方に参加してもらうということは、逆に我々の活動が見られているということでもあります。来ていただいたボランティアの方の熱意や期待に応えられるよう、我々も気合いを入れてしっかりと活動しなければならないと感じています。

ボランティアの方に対して意識しているポイントや、ボランティアの方に望むことはありますか?

 例えばブラインドサッカーの練習であれば、「目がみえない人がグラウンドでプレーすると、こんなことが起きるかもしれません。だから、こういうサポートをお願いします」というようなオリエンテーションを最初にやらないといけないと思っています。

 そして終わった後に「活動してみてどうでしたか」という感想や意見交換を必ず行うようにしています。我々は小さな団体でボランティアの方も数名なので、一人ひとりの方との交流が可能です。皆さん、「非常に楽しかった」「また来たい」と言ってくださいますが、ボランティアの方も色々と気付くことがあると思いますので、「こういうこともできたら良い」「もっとこうしてほしい」というような率直な意見交換をフランクにしていければと思います。

今後のボランティア募集について展望をお聞かせください。

 我々の場合、ボランティアの方には無償で来ていただいているので、近くにお住まいの方を中心にお願いしています。それは、継続して一緒に活動できる仲間になれる可能性が高いと考えているからです。一回限りではなく、ボランティアに来ていただいた方が一人でも二人でも我々の仲間になってくれるとありがたいです。

 将来的には、我々が活動拠点にしている世田谷区でブラインドサッカーの大会を開催したいので、その際もボランティアの力を借りることがあるかと思います。

S&Sを利用してボランティアを募集してみたいという団体の皆さんへメッセージをお願いします。

 これまで来ていただいたボランティアの方は、皆さん本当に素晴らしい方でした。S&Sには、そのような方々がたくさん登録しているので、ぜひ利用されると良いと思います。利用するにあたっては、ただ「お願いします」ではなく、どのような活動をしてもらうか具体的に考えておくことや、逆に来ていただいた方に何をお返しできるのかということをイメージすることが大事だと思います。ボランティアをお願いすることで本当に社会とのつながりが広がっていきますし、自分たちの活動が外の人から見てどんな活動なのかというフィードバックをもらえるので、そういった意味でも活用をおすすめします。

【インタビューを終えて】

 ボランティアを活用することで、サポートしてもらうだけではなく、ボランティアの方にお返しとして何か感じてもらいたいという張さんの強い思いが伝わってきました。こうしたボランティアの皆さんの様々なサポートは、スフィーダ世田谷BFCが掲げる「目がみえる人とみえない人がいつも笑いあえる社会は作れる」というビジョンの実現に貢献する力となるのではないでしょうか。